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Clevaの木もれ陽だより「たったひとつからの物語」とっておきのパン

no.02 シニフィアン・シニフィエ「チャバタ」(1)

みずみずしいチャパタに感動

「シニフィアン・シニフィエ」は、2006年に三宿にオープンしたベーカリー。「パティスリー・ペルティエ」や「ユーハイム・ディー・マイスター」などで、シェフブーランジェとして活躍してこられた志賀勝栄さんのお店です。

棚に並ぶのは、志賀さんご自身が「一番おいしい」と思える味をとことん追求し、納得して出来上がったパンのみ。素材も製法も、こだわり抜いて作り上げられたパンは、ただおいしいというだけでなく、健康にも配慮されているのが特徴です。

シニフィアン・シニフィエには、長時間発酵で粉の旨みを最大限に引き出したバゲットや、卵やバター不使用でありながら、フルーツケーキと見紛うほど美しくリッチな「パン・オ・ヴァン」など、魅力的なパンがたくさんあるのですが、今回の主人公は、「チャバタ(ciabatta)」。

チャバタは、スリッパという意味を持つイタリアの食事パン。平べったいカタチが、スリッパに似ているのでしょうね。何かを挟んでサンドイッチやパニーニとして食べるのが一般的です。

実は私、これまでチャバタはパン屋さんで見かけたとしても手に取らない部類のパンだったのです…。そんな私がシニフィアン・シニフィエのチャバタを手にしたのは、志賀さんが作ったチャバタならおいしいに違いない!と思って(笑)
(これまでにも、シニフィアン・シニフィエでは、あまり得意でなかったオリーブ入りのパン「パン・オリーブ」を食べてオリーブパンに目覚めた経験がありましたから。)

そして家に帰ってさっそくチャバタを食べてみた私。サンドイッチにする前にちょっとお味見~と思ってかじったところ…なんてみずみずしい生地!クラムはたっぷりの水分を含み、しっとり・もっちり。噛みしめると口いっぱいにやわらかな甘さと旨みが広がり、「ちょっとお味見」のつもりが、あれよあれよという間に 口の中に吸い込まれていきました。お、おいしすぎる~!!まるで 私の好きなパン「リュスティック」並のしっとり感です。

すっかりシニフィアン・シニフィエのチャバタに恋に落ちた私は、そのおいしさの秘密に迫るべく、志賀さんにお話を伺ったのでした。

個性が無い粉だから

シニフィアン・シニフィエのしっとりもっちりとしたチャバタはどうやって生まれたのでしょう?
それは「キタノカオリ」という北海道産の小麦粉との出会いが始まりだったそう。

製粉会社の知人から、「この粉を使ってパンを焼いてほしい」という(粉の宣伝の)依頼を受けた志賀さん。試作の結果「この粉は個性が弱いので、小さく成形してカリッと焼き上げてしまうと“普通のパン”になってしまって面白くない。半生がおいしいのでは?」という考えを導き出しました。そこで焼きを甘くしたチャバタに仕上げたのです。なんと、シニフィアン・シニフィエのチャバタは粉ありきで作られたパンだったのです!

チャバタは、小麦粉・酵母・水・塩といった基本的な材料で構成されたシンプルな生地。となると…。「このチャバタと、リュスティックの違いは何ですか?」かねてより疑問に思っていたことを尋ねると、志賀さんは「パンチ※の入れ方が違います。」と教えてくださいました。リュスティックは生地をたたむのに対し、チャバタは生地をぐいっと引っ張るのだそうです。
(※パンチは製造工程の作業のひとつ)
そして、リュスティックが上に向かって伸びるのに対し、チャバタは横にも伸びるため、均一な丸い気泡のクラムに仕上がります。

チャバタ、おいしさの秘密

チャバタの丸い気泡はおいしさの秘密を解く鍵なのでしょうか?

「パンの食感は、気泡をどう作るかで決まります」と志賀さん。細かく均一な気泡のパンは、歯切れが良くソフトでやさしい味わいに、大小不揃いにボコボコと気泡があいたパンは、主張の強い味わいに…と説明されると「なるほどっ」と納得(食パンとバゲットを思い浮かべてみてください)。あの丸い気泡は、やわらかな甘みを生んでいたのですね。

それではもうひとつの疑問、シニフィアン・シニフィエのチャバタがご飯のように水分量が多く、みずみずしい秘密は何でしょう?

「形を捨てると味の表現は増えるんですよ」と志賀さんは教えてくれました。「ムースもそう。形作れないほどやわらかい状態が一番おいしい」。

なんと、シニフィアン・シニフィエのチャバタは、十分な加水をしているためグルテンのつながりがゆるく、生地はトロトロの状態に。それを粉の上で成形するのだそう。「見た目は捨てました」と笑いながらおっしゃるシェフに、常識にとらわれない手法でおいしさを追及する、シェフの真髄を垣間見たような気がしました。

次回は、志賀シェフに聞く「チャバタのおいしい食べ方」です!

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自称:パン食人(パンショクニン)。
おいしいパンを求めてパン屋さんを巡ったり、
お取り寄せしてみたりと
「シアワセパン生活」を実践中。
関東を中心にパン情報を掲載した
clevaless(クレバレス)」を主宰。

Kepobagles写真

Shop Data

Signifiant Signifie(シニフィアン・シニフィエ)

東京都世田谷区下馬2-43-11
東急バス 渋31〜34系統「自衛隊病院前」下車徒歩1分
TEL/FAX:03-3422-0030
OPEN 11:00-

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