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甲斐みのりのロマンチック案内 旅、街歩き、お菓子、器、洋服、お酒、読書、音楽…etc。愛らしく美しいもの、澄んだもの、おいしいものや、おしゃれなど。『乙女の京都』、『乙女の東京』、『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』の著者、甲斐みのりさんが日々の中で、見つけたり、出会ったり、気になったり、ロマンチックを感じるモノやコトを、写真に短いエッセイを添えてご紹介する連載が「甲斐みのりのロマンチック案内」です。少しの間、日常の忙しさから離れて、どうぞゆっくりと、ご覧ください。

甲斐みのり(かい・みのり)

1976年静岡生まれ。文筆家。大阪芸術大学卒業後、数年を京都で過ごし、現在は東京にて、雑誌や書籍で執筆を行う。また、「女性の永遠の憧れ」「叙情のあるものつくり」をテーマに、雑貨の企画を行うブランド「Loule」(ロル)を主宰。著書に『乙女の京都』『乙女の東京』『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』(以上すべて小社刊)、『京都おでかけ帖〜12ヶ月の憧れ案内〜』(祥伝社)、『甘く、かわいく、おいしいお菓子』(主婦の友社)、『クラシックホテル案内』(KKベストセラーズ)、『乙女みやげ』(小学館)、『ジャーナル』(mille books)などがある。http://www.loule.net

03 第十一回亀倉雄策賞受賞記念 植原亮輔展(会場:銀座・クリエイションギャラリーG8)

すきなものは?
ここ数年、そんな質問をされるたび、迷いなくD-BROSと答える。
D-BROSとは、グラフィックデザインや広告制作をおこなう会社、
ドラフトを母体に発足した、プロダクトデザイン・プロジェクト。
「D-BROSのプロダクトは、女性ばかりでなく、男性にもある、
“かわいい”や“ロマンチック”を感じる心を撫でる」
ある雑誌のD-BROS特集で、いちファンとして、
こんなふうなコメントをさせていただいたことがある。
私がD-BROSを知ったのは、ものづくりを始めたばかりの京都時代。
10年もの間ずっと、目映い憧れの存在。
年月重ねるごと、さらにときめかされ、ますます好きになってゆく。
そんな、D-BROSの中心で商品デザインを手がける、
グラフィックデザイナーの植原亮輔氏。
氏の亀倉雄策賞受賞を記念して開催された展覧会場で見つめた、
詩的で言語的で音楽的な、ロマンチックの数々。

ロマンチック 現実を離れ、情緒的で甘美なさま。また、そのような事柄を好むさま。空想的。風景、もの、こと、人、場所、想い、出会い、目にして、触れたとき心がユラリと揺れるような甘く、優しく、ふんわりとした気持ちになれる、さまざまを、ご案内いたします

D-BROS レターセット

ポラロイド写真、レースペーパー、ノートの切れはし、
机の上に広がる日常をそのまま掬いだしたように、
コラージュ・デザインされた、便箋と封筒。
私はこのレターセットに、
大切な人へ伝えたい、大切な気持ちを託したことがある。
植原氏と並びD-BROSのデザイナー、渡邉良重さんによる
『UN DEUX』という本の、一番最後のページに、
綴った手紙、挟み込んで。

D-BROS カレンダー

家にも仕事場にも、カレンダーや時計を置いていない。
けれども毎年、D-BROSのカレンダーは買う。
D-BROSのプロダクト、「秒の時計」という壁掛け時計や、
ポスターのような紙の時計も、持っている。
本当は、日々の暮らしに馴染ませてこそと解しつつ、
D-BROSのカレンダーは、宝物をしまう棚の中。
恋したように嬉しいときもそうするけれど、
たいていは行き詰まったり沈んだとき、
そっと引き出しを開け、撫でたりめくったり。
すると、停滞していた活力が動き出す。
何度も力を借りたカレンダーをあらためて見つめ、
手をかざして影で触れてみた。
そうそう、秒の時計は仕事机の横に飾っているけれど、
時間は24時間、3時ちょうどを差したまま。

Hope forever blossoming

シャンプーなどの詰め替え容器から着想を得たという、
「Hope forever blossoming」という名の花器。
影も展示物の一部のようで、しばし見惚れる。
展覧会場に並んでいた写真とは別の柄のものを、
部屋に花が飾られていたことなどなく、
だからもちろん花瓶もないだろう人のところへ、
花と一緒に届けようと買い求めたことがあった。
けれども、花瓶に似合う花が店先に並ぶのを待つうちに、
いつのまにかその人と会うこともなくなり、
しばらく眠らせていたままだったと思い出す。
展覧会翌日、平たい袋にたっぷり水を入れ、机の上に置く。
かぎりなく紫に近い青っぽい花を挿してみる。
透明な容器と、水と、光が、重なり屈折して、きらり光る。
ささやかなまぶしさに、目を細めずにいられなかった。

シアタープロダクツ

幾部屋かで構成される会場の、部屋2つ分を埋めていたのが、
植原氏が手がけた、「シアタープロダクツ」の仕事。
植原氏が亀倉雄策賞を受賞したのも、「ファッションブランド
『THEATRE PRODUCTS』のグラフィックツール」に対して。
“劇場的”な洋服を世に送り出すブランドの想いを、
植原氏が紙の中に映し出したロマンチックを通して眺める。
小さな部屋の中では、映像が流れ、
音楽を聴くことができるようにもなっていた。
「クラシックも前衛音楽も、いまここに聴こえるすべての音楽を
“現代という同じ時代”の音楽であると考える」をコンセプトに
シアタープロダクツはが運営する音楽レーベル、
シアタームジカからリリースされた、
阿部海太郎さんの『SOUNDTRACK for D-BROS』。
発売された昨年秋から、一番よく聴いている音楽。
青いグラデーションのジャケットデザインはもちろん、植原氏。

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MARBLE BOOKS 甲斐みのりさんの著書 好評発売中 乙女の京都 乙女の東京 京都ロマンチック案内

 バックナンバー

01 「イイダ傘店 平成二十一年春 日傘展」

02 「ロマンチックに酔うために」

03 「第十一回亀倉雄策賞受賞記念 植原亮輔展」

04 「恋に落ちた瞬間」

05 「『乙女の大阪』写真の奇跡」

06 「竹皮編み展」

07 「ホテルニューグランド」

08 「甘いしみ 苦いしみ」

09 「涼しい和菓子」

10 「祈りの場所」

11 「夏の思い出」

12 「雑司ヶ谷散歩、鬼子母神堂あたり。」

13 「ロマンチックな甘い粒。」

14 「ところどころ」に、ロマンチック。

15 「ロマンチック競馬案内」

16 「大仏、サブレー、コケーシカ。」

17 「ねこ、ねこ、毎日。」

18 「ベッドサイドブック」

19 「4th-market 企画展 作り手と使い手」

20 「娘であること」

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