r.o.m.o.トップページ > 木もれ陽だより > 甲斐みのりのロマンチック案内



1976年静岡生まれ。文筆家。大阪芸術大学卒業後、数年を京都で過ごし、現在は東京にて、雑誌や書籍で執筆を行う。また、「女性の永遠の憧れ」「叙情のあるものつくり」をテーマに、雑貨の企画を行うブランド「Loule」(ロル)を主宰。著書に『乙女の京都』『乙女の東京』『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』(以上すべて小社刊)、『京都おでかけ帖〜12ヶ月の憧れ案内〜』(祥伝社)、『甘く、かわいく、おいしいお菓子』(主婦の友社)、『クラシックホテル案内』(KKベストセラーズ)、『乙女みやげ』(小学館)、『ジャーナル』(mille books)などがある。http://www.loule.net



「歴史、建物、空間、料理、景色、働く人、客人、
あるもの、いる人すべてが、
ロマンチックな関係で結ばれているかのよう。
目に留まる何もかもに、物語が宿っているかのよう。
(中略)
クラシックホテルの、ただならぬ様子が好き。
何かが起こる気がする、何かを知れる気がする。
足を踏み入れ、時間を過ごしたあと、1冊の小説を読んだような心地がする。」
これは、『クラシックホテル案内』という本を書いたとき、
「はじめに」に書き留めたこと。
本をつくったあともなお、時間さえできればそこへ赴き、時を過ごす。
宿泊せずとも、ロビーにラウンジ、バーにベーカリーが、
おおらかに出迎えてくれるのが、歴史あるホテルのよいところ。
暮らしている中目黒から東急東横線で30分ほど。
気が向いた週末に、するりと逃避行できる、
横浜は元町に所在する「ホテルニューグランド」。
創業は昭和2年、ルネサンス様式の建物で、
大佛次郎、獅子文六、池波正太郎、
石原裕次郎、松田優作と、
作家や俳優に愛されたことでも知られる。
幾度も訪れたそのところ。
写真では、断片的にしか紹介できないけれど、
ロマンチックな記憶をここで、ご案内。



粛々として品格ある、石の柱の本館ロビー。
高い天井、大きな窓、贅沢な空間に配された横浜家具。
どっしりとしたソファーに腰掛けたり、
ライティングデスクでちょっとした書きものをしたり、
窓の向こう、木々の緑とともにある山下公園を眺めたり。
時代も時間も日常も、ひととき忘れ、身を置く。


昭和初期、ホテル開業当時の面影残る、
「レインボー・ボール・ルーム」。
かつては夜ごと、舞踏会が催され、
ジャズ演奏の音が響いていたのだそう。
今は、結婚披露宴などに利用されている部屋。
丸みを帯びた漆喰の天井を、
その名の通り虹色の照明が照らす様はロマンチック。
舞台上には鳳凰の浮彫りが羽ばたいている。
松任谷由実さんが、横浜山手教会での挙式のあと、
披露宴をとりおこなったことでも有名。


ホテルのシンボルマークでもある
不死鳥の名を持つ「フェニックスルーム」。
お隣の「レインボー・ボール・ルーム」と趣異なり、
中国や日本古来の神殿のような、
オリエンタリズムが強調された造り。
開業当時、ホテルのメインダイニングの用途を果たし、
外国人宿泊の異国情緒に訴え、喜ばせた。
太い木の柱や天井の梁、照明と、建築好きをもときめかせる。


「シュリンプ・ドリア」、
「スパゲッティナポリタン」、
「プリン・ア・ラ・モード」と、
このホテル発祥の料理はいくつもある。
ホテルを訪れたら必ず買って帰る、
一口サイズのスモールケーキも
初代料理長が日本に取り入れたもの。
宮廷料理で最後に出される、
プティフルールに着想を得て生まれたデザート。
ラムボール、チョコレートロール、チェリーロール、
アラナナ、マカロン、アマンディーヌと数種あり、
どれもがとびきりチャーミングな姿。
1階「ザ・カフェ」で、味わっても、おみやげにしても。


2009年7月26日(日)、横浜開港150年を記念して、甲斐みのりとホテルニューグランドがコラボレーション。
「横浜小旅行」をテーマにスペシャルレクチャーを開催します。
歴史ある横浜を象徴する老舗ホテルの「スターライトルーム」で、日本初・同ホテルのレシピで再現された、
シュリンプ・ドリアやプリン・ア・ラ・モードのプレミアムランチをいただきつつ、足を運びたくなる横浜の紹介をいたします。
詳しくはLoule webをご覧ください。

