r.o.m.o.トップページ > 木もれ陽だより > 甲斐みのりのロマンチック案内



1976年静岡生まれ。文筆家。大阪芸術大学卒業後、数年を京都で過ごし、現在は東京にて、雑誌や書籍で執筆を行う。また、「女性の永遠の憧れ」「叙情のあるものつくり」をテーマに、雑貨の企画を行うブランド「Loule」(ロル)を主宰。著書に『乙女の京都』『乙女の東京』『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』(以上すべて小社刊)、『京都おでかけ帖〜12ヶ月の憧れ案内〜』(祥伝社)、『甘く、かわいく、おいしいお菓子』(主婦の友社)、『クラシックホテル案内』(KKベストセラーズ)、『乙女みやげ』(小学館)、『ジャーナル』(mille books)などがある。http://www.loule.net



30年以上生きてきて、自慢できるところはそうないけれど、
私だってこれだけはといえるのは、日本生まれのお菓子への愛情。
それから、お菓子だけではなくて、お菓子を包む紙や箱や缶も。
お菓子のかたちや箱や紙の模様をぱっと見て、
これはここのと答えられる。
そうできたからといって、これまでに役立ったことはないのだが、
偏愛とはそんなもの。それでいい。
いつかは「お菓子(の見た目)研究家」と堂々名乗れるまでに、
今後も日々、精進してゆきたい。
そんな私の琴線が揺らめいた、ロマンチックなお菓子をここに。
ぜひみなさまに知っていただきたい。
大阪にありカステラで知られる菓子屋〈長崎堂〉の、
秋から春(10月〜5月)に限定で販売される
「クリスタルボンボン」。
少しずつ、紐といてまいりましょう。



ピンク色のリボンがかけられた、ピンク色の小箱。
リボンをほどき、箱を開けば、その中には……。


……。
みつ編み結んでリボンで飾り、ドレスをまとった少女が、
夜空の月と星を見上げるうしろ姿が描かれた小箱。
金色に縁どられた蓋を開ければ、その中には……。


……。
白色。水色。ピンク色。
3色のまあるく小さな、甘い粒。
それから、4,5センチ四方のピンク色の紙片。
雪のような白色い粒は、コアントローボンボン。
オレンジの香りのまろやかな風味。
涙のような水色の粒は、アニゼットボンボン。
薬草アニスからつくられた、
アニゼット酒のすっきりとした味わい。
恋心のようなピンク色の粒は、マラスキーノ。
桜桃でできたマラスキーノ酒が芳香を放つ。
そうして、ピンク色の紙片に書いてあるのは……。


……。
シャーロットは
見ている
ひかりのように
水のように
スノードロップ
原稿用紙の小さな升目におさめられた、5行の詩。
長崎堂の商品やパッケージなどさまざまをプロデュースする、
デザイナーの荒木志華乃さんにお伺いしたところ、
俳人で画家でもある、
冬野虹(ふゆのにじ)さんの作品と教えていただく。
3粒の甘いかけらと、30字の言葉。
響きあって、照らしあって、
甘く儚く美しい、余韻を残す。
涙もため息も、甘い香りにかえて、
胸の内に沁み入る、魔法のクスリ。
そう思って、ひと粒ずつ口に運ぶ。
心に、お菓子を。
心に、甘いロマンスを。

<告知>
「甲斐みのりと巡る秋の東京 雑司ヶ谷〜目白」
という街歩きの講座も来月開講いたしますので、ぜひご一緒に。
10月11日(日) 10:15〜14:30
『乙女の東京』をともにつくった
マーブルブックスさんが池袋コミュニティカレッジで開講する講座の
一日講師をつとめさせていただきます。
鬼子母神で毎月1回開催される『手創り市』を皮切りに、
昔ながらの風情が残る歴史ある町、
雑司ヶ谷〜目白を数時間かけて案内させていただきます。
途中、写真撮影やつまみぐいなどしながらぶらぶらと、
ともに歩けたらと思います。
<主な案内予定場所>
・鬼子母神堂「手創り市」、「おせん団子」、「上川口屋」
・雑司が谷旧宣教師館
・目白ヶ丘教会
・目白聖公会
・聖シプリアン聖堂
その他、小さな商店や史跡なども巡ります。
最後は自由参加で、カフェでお茶をいただける時間も準備しています。
詳細・お申し込みはこちらをどうぞ。
http://www.7cn.co.jp/cc/topics/index2.html

