r.o.m.o.トップページ > 木もれ陽だより > 甲斐みのりのロマンチック案内

甲斐みのりのロマンチック案内 旅、街歩き、お菓子、器、洋服、お酒、読書、音楽…etc。愛らしく美しいもの、澄んだもの、おいしいものや、おしゃれなど。『乙女の京都』、『乙女の東京』、『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』の著者、甲斐みのりさんが日々の中で、見つけたり、出会ったり、気になったり、ロマンチックを感じるモノやコトを、写真に短いエッセイを添えてご紹介する連載が「甲斐みのりのロマンチック案内」です。少しの間、日常の忙しさから離れて、どうぞゆっくりと、ご覧ください。

甲斐みのり(かい・みのり)

1976年静岡生まれ。文筆家。大阪芸術大学卒業後、数年を京都で過ごし、現在は東京にて、雑誌や書籍で執筆を行う。また、「女性の永遠の憧れ」「叙情のあるものつくり」をテーマに、雑貨の企画を行うブランド「Loule」(ロル)を主宰。著書に『乙女の京都』『乙女の東京』『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』(以上すべて小社刊)、『京都おでかけ帖〜12ヶ月の憧れ案内〜』(祥伝社)、『甘く、かわいく、おいしいお菓子』(主婦の友社)、『クラシックホテル案内』(KKベストセラーズ)、『乙女みやげ』(小学館)、『ジャーナル』(mille books)などがある。http://www.loule.net

14 「ところどころにロマンチック」

鳴子や盛岡を旅しようと決めたのは、
『here and there』の創刊号を読んで。
日本語と英語、ふたつの言葉で綴られているところ。
特別そうじゃない紙をめくるときのかりかりとした指触り。
服部一成さんのデザイン。
パリのこと、スーザン・チャンチオロのこと。
アートやファッションや一個人について。
発行人でジャーナリストの林央子さんが
足を運び、人と会い、抱いた感覚や感情。
なにかを感じたり書いたりしてみたいのに、
どうしたらいいか分からなかったその頃の私が、
知らなくて知りたくて憧れていたもの。
『here and there』の中に見つけた。
2002年の春のこと。
毎晩、眠る前に読んだ。
央子さんの言葉、詩みたいだなあとか、
海外の翻訳小説みたいだと思って読んだ。
こんな言葉や風景が夢にでてきたらいいと。
言葉に添えられた写真をじっと見つめたりも。
そうして秋には、東北行きの電車に乗っていた。
ガイドブックなど持たずに。
『here and there』だけを抱えて。

以来、毎年、新しい号が出るのを楽しみにしている。
そういえば、「『here and there』いいよね」と言って
共通言語が発生し、仲良くなった人もいた。
いわゆる、『here and there』と、林央子さんのファン。
シンプルにいつも、言葉もデザインされ印刷された紙そのものも
好きだなとしみじみ思う。

そんな『here and there』の9号、
「Her Life」の発売を記念した展示へ赴くため、
〈Now IDeA by UTRECHT〉へ。

今回のロマンチックは、そのときの写真。

ロマンチック 現実を離れ、情緒的で甘美なさま。また、そのような事柄を好むさま。空想的。風景、もの、こと、人、場所、想い、出会い、目にして、触れたとき心がユラリと揺れるような甘く、優しく、ふんわりとした気持ちになれる、さまざまを、ご案内いたします

『here and there』最新号、バックナンバーは、
〈Now IDeA by UTRECHT〉でお求めいただけます。
10月から〈Now IDeA by UTRECHT〉内に
カフェ「aMoule」がオープンしました。
http://www.nowidea.info/

『here and there』9号のポスター

会場に貼ってあった、『here and there』9号のポスター。
デザインは服部一成氏。
9号のテーマは「Her Life」。女性の人生。
「世界は単純ではなく、感情にみちていて、未解決の問題や新しい謎でこぼれそうだ。目の前の一つひとつのことに必死になって、時間は飛ぶようにすごていく」
林央子さんの言葉が核心に響く。
央子さんが見つめた、さまざまな「ところどころ」に、
いつも光のようなものを感じる。
なにかを読んでなにかを感じる。
誰かの生き方になにかを感じる。
そういられることが嬉しい。
「Her Life」には、大好きなミランダ・ジュライのテキストもある。
ミランダ・ジュライが書いたのはなんでも全部読みたいと思っているから、
それも嬉しい。

言葉を刻む指輪

イラストレーターの塩川いづみさんと、
アクセサリー作家の下川宏道さんによる、
「言葉を刻む指輪」。
言葉のカードと、カードと同じ言葉が刻まれた指輪が、
天井から吊るされた赤い糸の先で揺れる。
言葉のカードと指輪の下のテーブルの上には
塩川いづみさんのイラストが並んでいたのだけれど、
カードの四角や、指輪のまるい影が
猫や人や時計やマッチの
イラストの上をひらひらと行き来して。
言葉が絵に憧れているようで。
切なくもなる。

思い出を留める指輪

ミナ ペルホネンの長江青さんと、下川宏道さんによる、
「思い出を留める指輪」。
天井から吊るされ宙に浮いた下川宏道さんの指輪に結ばれた
赤い糸や毛糸やリボンを辿っていくとその先に、
ぬいぐるみ、切手、ノート、お菓子の箱などなど。
長江青さんの思い出の品々が。
赤い糸がつなぐ、指輪と思い出。
なんてポエジーでロマンチックなの。
少女時代、おまじないの本を読んで、
好きな人と両思いになれるならばと、
ポケットにいつも赤い糸をしのばせておいたり、
宝物に赤い糸を結びつけたりしていたこと思い出す。
それにしても両思いって、かわいい言葉。
指輪と思い出の品もまさに、両思いの形だった。

山田愛子さんの作品

9号の特集「Her Life」で、央子さんが訪問されていた、
山田愛子さんの作品。
壁に並ぶ押し花や押し葉たち。
美術館に飾られているもの、
触りたくなってしまう子どもだったけれど、
もちろんそれは怒られることで、
だから影を通して触れることを覚えた。
このけなげな葉っぱにも、やっぱり影で触れてみた。

コメント

甲斐みのりさんへのコメントを書く・読む

コメントを書く

name

 

comment

 

MARBLE BOOKS 甲斐みのりさんの著書 好評発売中 乙女の京都 乙女の東京 京都ロマンチック案内

 バックナンバー

01 「イイダ傘店 平成二十一年春 日傘展」

02 「ロマンチックに酔うために」

03 「第十一回亀倉雄策賞受賞記念 植原亮輔展」

04 「恋に落ちた瞬間」

05 「『乙女の大阪』写真の奇跡」

06 「竹皮編み展」

07 「ホテルニューグランド」

08 「甘いしみ 苦いしみ」

09 「涼しい和菓子」

10 「祈りの場所」

11 「夏の思い出」

12 「雑司ヶ谷散歩、鬼子母神堂あたり。」

13 「ロマンチックな甘い粒。」

14 「ところどころ」に、ロマンチック。

15 「ロマンチック競馬案内」

16 「大仏、サブレー、コケーシカ。」

17 「ねこ、ねこ、毎日。」

18 「ベッドサイドブック」

19 「4th-market 企画展 作り手と使い手」

20 「娘であること」

木もれ陽だより トップへもどる

ページトップへもどる

Copyright (c) 2008-2011 The Marble Future Supply Inc.