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甲斐みのりのロマンチック案内 旅、街歩き、お菓子、器、洋服、お酒、読書、音楽…etc。愛らしく美しいもの、澄んだもの、おいしいものや、おしゃれなど。『乙女の京都』、『乙女の東京』、『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』の著者、甲斐みのりさんが日々の中で、見つけたり、出会ったり、気になったり、ロマンチックを感じるモノやコトを、写真に短いエッセイを添えてご紹介する連載が「甲斐みのりのロマンチック案内」です。少しの間、日常の忙しさから離れて、どうぞゆっくりと、ご覧ください。

甲斐みのり(かい・みのり)

1976年静岡生まれ。文筆家。大阪芸術大学卒業後、数年を京都で過ごし、現在は東京にて、雑誌や書籍で執筆を行う。また、「女性の永遠の憧れ」「叙情のあるものつくり」をテーマに、雑貨の企画を行うブランド「Loule」(ロル)を主宰。著書に『乙女の京都』『乙女の東京』『乙女の大阪』『京都ロマンチック案内』(以上すべて小社刊)、『京都おでかけ帖〜12ヶ月の憧れ案内〜』(祥伝社)、『甘く、かわいく、おいしいお菓子』(主婦の友社)、『クラシックホテル案内』(KKベストセラーズ)、『乙女みやげ』(小学館)、『ジャーナル』(mille books)などがある。http://www.loule.net

16 「大仏、サブレー、コケーシカ。」

沼田元氣さんは、10代の頃からの憧れの芸術家。
京都で最初にマッチをつくったとき
「下鴨納涼古本まつり」でまちぶせをして、
手紙とマッチを渡したのが、最初の出会い。
100%ORANGEさんは、10年来、
いちファンであり、同士であり、親友のような存在。
お互い阿佐ヶ谷に住んでいるとき、くじけるたび、
真夜中によく、話しを聞いてもらった。
沼田さんも100%ORANGEさんも、
心から尊敬をしている方なのである。
おふた方がつくるものは、様相違えど、機微がある。
愛おしい。いじらしい。ぬかりない。果てしない。
そして、少し切ない。少し。
沼田さんの写真や著書、100%ORANGEさんの絵や絵本や漫画、
見つめたり、読んだり、鞄にいれてあるいていると、
澱んだ気持ちを抱きながら澱んだ世界に生きているのを、
切なく感じられてしまうのだ。
私も、そこへ行きたいと思う。
澄んだ世界。ユーモアとロマンスのある世界へ。

鎌倉、吉屋信子記念館の向かい。
沼田元氣さんが、伝統こけしとマトリョーシカの店を開いた。
そこで、100%ORANGEさんが、展覧会を催すという。
敬愛するふた方の、共同作業たるやいかに。
まるでこれから人形劇を観に行く子どものような足取り、
弾んだ心持ちで、-いざ鎌倉へ-と、
グリーンとオレンジのラインが入った電車に飛び乗る。

ロマンチック 現実を離れ、情緒的で甘美なさま。また、そのような事柄を好むさま。空想的。風景、もの、こと、人、場所、想い、出会い、目にして、触れたとき心がユラリと揺れるような甘く、優しく、ふんわりとした気持ちになれる、さまざまを、ご案内いたします

リトルブッダ・バルーン

「100%ORANGEこけし展覧会」で初お披露目の 鎌倉大仏をモチーフにしたマトリョーシカ。
手に赤い風船を持っているのが
5個組の「リトルブッダ・バルーン」。
グレーのブッダの背に蝶やアリが身を休めるのが、
3個組の「リトルブッダ・モノトーン」。
中から中からブッダが現れ、
横一列、背比べのように並ばせたら本当に、
神さまの家族に見守られているような幸いを覚える。
これは、100%ORANGEさんの線を、
ロシアのマトリョーシカ職人さんたちがうつしたもの。
目鼻口、胸、*螺髪、手。
ひとつひとつ、表情が違っているから、
ひとつひとつ、手にとり目を凝らした。
ロシアの人たちは、絵筆を持ちながら、隣で働く人と
「なんだろうね、これ」って、噂ばなししたかな。
神さまだって、気がついただろうか。

*螺髪=らほつ。大仏さまの頭のぶつぶつ。

マトリョーシカとこけしの絵

100%ORANGEさんが、
マトリョーシカとこけしの絵を、シルク印刷したもの。
みんな女性に見えるけれど、みんな女性なんだろうか。
マトリョーシカにもこけしにも、男とか女とかあるのだろうか。
と、思っていたら。
男の子とか、女の子とか、家族とか親子とかひとりきりとか、
マトリョーシカにもこけしにも、いろいろあると、あとから知った。

33番

33番。
番号がついた、
この子に惚れた。
つぶらな瞳、みつあみの髪。
みつあみが、ふたつじゃなくて、ひとつ、
というのがよかった。
実際、ふたつじゃなくて、ひとつだけ、
みつあみをすると、決まらないものだから。
だけどこの子はちゃんと、みつあみを
自分のものにしている。
だけども、私がお買いあげしたのは、
28番。
33番は、片想いで終わった。

このみつあみっ子は、誰の元へ?
そうそう、これは、
100%ORANGEさんが、
熱を発するペンシルで、手描きしたもの。
ポータプルレコードプレイヤーを
ろくろのかわりに、
失敗したこけしが円陣つくるアトリエを、
あとから見学させてもらった。

伝統こけしとマトリョーシカ

沼田元氣さんが、日本中、世界中から、
古都・鎌倉へ呼び寄せた、伝統こけしとマトリョーシカ。
ぼうしをかぶったの。頭巾をまいたの。
ボーダー着た子。困った顔をしている人。
個性いろいろ、表情いろいろ。
みんな、とびきりおしゃれしている。
すまし顔。すてきな召しもの。
その小粋な立ち姿、見習わねばと気を正す。

もちろんどれも、お求めできます。

これからの、三大鎌倉名物は、
大仏、鳩サブレー、コケーシカ。

information

「100% ORANGE KOKESHI Exhibition」
2009.10.31〜11.30

伝統こけしとマトリョーシカの専門店「コケーシカ KOKE-SHKA」
営業時間:11:00〜18:00(金・土・日・月・祝日のみ)
住所:鎌倉市長谷1-2-15
電話:0467(23)6917

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MARBLE BOOKS 甲斐みのりさんの著書 好評発売中 乙女の京都 乙女の東京 京都ロマンチック案内

 バックナンバー

01 「イイダ傘店 平成二十一年春 日傘展」

02 「ロマンチックに酔うために」

03 「第十一回亀倉雄策賞受賞記念 植原亮輔展」

04 「恋に落ちた瞬間」

05 「『乙女の大阪』写真の奇跡」

06 「竹皮編み展」

07 「ホテルニューグランド」

08 「甘いしみ 苦いしみ」

09 「涼しい和菓子」

10 「祈りの場所」

11 「夏の思い出」

12 「雑司ヶ谷散歩、鬼子母神堂あたり。」

13 「ロマンチックな甘い粒。」

14 「ところどころ」に、ロマンチック。

15 「ロマンチック競馬案内」

16 「大仏、サブレー、コケーシカ。」

17 「ねこ、ねこ、毎日。」

18 「ベッドサイドブック」

19 「4th-market 企画展 作り手と使い手」

20 「娘であること」

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